Windows Server 2012では、Windows Server 2008 R2からActive Directory (AD)やフェールオーバー クラスタリング (WSFC) といったサーバー管理におけるPowerShellコマンドレットが強化、および追加されました。
各役割および機能に関するPowerShellコマンドレットのヘルプについて、オンライン上で公開されていますが、現時点では主に英語のみで日本語の情報はあまり公開されていないようです。
ここでは、Windows Server 2012のiSCSI Targetに関するPowerShellコマンドレットの情報について、日本語としてオンライン上で備忘録として確認したいと思い、本ブログ上で纏めてみることにしました (内容については「Get-Help」コマンドレットの-Fullオプションを用いて実行した結果を編集、補足したものとなります)。
この記事では、「Set-IscsiServerTarget」コマンドレットについて記載します (他のコマンドレットについては、「Windows Server 2012のiSCSI Targetで使用できるPowerShellコマンドレットについて」を参照)。
■名前
Set-IscsiServerTarget
■概要
指定したiSCSIターゲットに対しての設定を修正します。
■構文
Set-IscsiServerTarget [-TargetName] <string> [-TargetIqn <Iqn>] [-Description <string>] [-Enable <bool>] [-EnableChap <bool>] [-Chap <pscredential>] [-EnableReverseChap <bool>] [-ReverseChap <pscredential>] [-MaxReceiveDataSegmentLength <int>] [-FirstBurstLength <int>] [-MaxBurstLength <int>] [-ReceiveBufferCount <int>] [-EnforceIdleTimeoutDetection <bool>] [-InitiatorIds <InitiatorId[]>] [-PassThru] [-ComputerName <string>] [-Credential <pscredential>] [<CommonParameters>] Set-IscsiServerTarget -InputObject <IscsiServerTarget> [-TargetIqn <Iqn>] |
■説明
Set-IscsiServerTargetコマンドレットは、指定したiSCSIターゲットに対しての設定を修正します。 また、-PassThruパラメーターが指定された場合、対応するiSCSIターゲット オブジェクトを返します。
■パラメーター
-Chap <pscredential>
CHAPのユーザー名およびシークレットを指定します。このパラメーターはCHAPが有効でない場合、-EnableChapパラメーターを同時に使用する必要があります。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-ComputerName <string>
このコマンドレットをリモート コンピューター上を実行する場合、リモート コンピューターのコンピューター名、もしくはIPアドレスを指定します。
このコマンドレットをクラスター構成上で実行する場合、クラスター リソース グループ ネットワーク名、もしくはクラスター ノード名を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-Credential <pscredential>
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-Description <string>
iSCSIターゲットに対する説明を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-Enable <bool>
指定したiSCSIターゲットを有効にするか、無効にするかを指定します。
このパラメータが「True」で指定した場合、ターゲットは有効になります。ターゲットが既に有効にされている場合、何も実施しません。
このパラメータが「False」で指定した場合、ターゲットは無効になります。 ターゲットが既に無効にされている場合、何も実施しません。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-EnableChap <bool>
CHAPがiSCSIターゲットに対して有効にするかどうか指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-EnableReverseChap <bool>
リバースCHAPがiSCSIターゲットに対して有効にするかどうか指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-EnforceIdleTimeoutDetection <bool>
強制アイドル タイムアウト指定を実施するかどうかを指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-FirstBurstLength <int>
初期バースト長を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-InitiatorIds <InitiatorId[]>
iSCSIターゲットが関連付けられたiSCSIイニシエーター識別子 (ID) を指定します。
iSCSIイニシエーターによって割り当てられたiSCSI仮想ディスク オブジェクトを除外するためにこのパラメーターを使用します。
このパラメーターのフォーマットはIdType:Valueとなります。
このパラメーターで使用可能な値はDNSName、IPAddress、IPv6Address、IQN、MACAddressとなります。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-InputObject <IscsiServerTarget>
入力パイプラインからのiSCSIターゲット オブジェクトを許可します。
必須 | true |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | InputObject |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-MaxBurstLength <int>
最大バースト長を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-MaxReceiveDataSegmentLength <int>
受信者データ セグメント長を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-PassThru
他のコマンドレットへの入力として、パイプライン経由でインタラクティブ ウインドウからアイテムを送ります。 既定では、このコマンドレットから出力結果を取得することができません。
パイプライン経由でインタラクティブ ウインドウからアイテムを送るために、アイテムを選択、クリックし、「OK」をクリックしてください。 Shift-クリックとCtrl-クリックについては、サポートされます。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-ReceiveBufferCount <int>
受信者バッファ サイズを指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-ReverseChap <pscredential>
リザーブCHAPのユーザー名およびシークレットを指定します。このパラメーターは、 リバースCHAPが有効でない場合、-EnableReverseChapパラメーターを同時に使用する必要があります。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | false |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-TargetIqn <Iqn>
ターゲットiSCSI Qualified Name (IQN) を指定します。
必須 | false |
位置 | 名前付き |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | (すべて) |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
-TargetName <string>
iSCSIターゲット名を指定します。
注: ターゲット名はここで変更することができません。このパラメーターは、iSCSIターゲット オブジェクトを除去するために使用することが可能です。
必須 | true |
位置 | 1 |
パイプライン入力を許可する | true (ByPropertyName) |
パラメーター セット名 | TargetName |
エイリアス | なし |
ワイルドカード文字を許可する | false |
<CommonParameters>
このコマンドレットは、次の共通パラメーターをサポートします: -Verbose、-Debug、-ErrorAction、-ErrorVariable、-WarningAction、-WarningVariable、-OutBuffer、および-OutVariable。詳細については、「about_commonparameters」と入力してヘルプを参照してください。
■入力
System.String
Microsoft.Iscsi.Target.Commands.Iqn
System.Boolean
System.Int32
Microsoft.Iscsi.Target.Commands.InitiatorId[]
System.Management.Automation.PSCredential
■出力
System.Object
■エイリアス
なし
■メモ
このコマンドレットを含むモジュールのヘルプ ファイルをダウンロードしてインストールするには、Update-Helpを使用してください。
■例
例1
Set-IscsiServerTarget -TargetName Test -InitiatorId @()
例1:説明
この例では、ターゲット名「Test」に関連付けられたイニシエーターのすべてを削除します。
例2
Set-IscsiServerTarget –TargetName "TargetOne" -Description "Target for initiator Appsvr"
例2:説明
この例では、ターゲット名「TargetOne」に対する説明を「Target for initiator Appsvr」として追加します。
例3
$password = ConvertTo-SecureString -String "passwordpass" -AsPlainText –Force<br>$chap = New-Object -ComObject System.Management.Automation.PSCredential("user", $password)<br>Set-IscsiServerTarget –TargetName "T1" -EnableChap $true -Chap $chap
例3:説明
この例では、証明書ユーザーおよびパスワードで、ターゲット名「T1」上にあるCHAPを有効化、および設定します。
例4
Set-IscsiServerTarget -TargetName Test -InitiatorId "IPAddress:10.10.1.10","IPAddress:10.10.1.11"
例4:説明
この例では、より多くのIDを同じターゲットに割り当てます。
例5
Set-IscsiServerTarget -TargetName Test -InitiatorId "IQN:*"
例5:説明
この例では、すべてのイニシエーターへターゲットを接続することを試みます。イニシエーターが接続を行う際確認がiSCSIターゲットで行えないため、この構成を行う際は注意してください。これは接続に関するトラブルシューティング、およびターゲット-イニシエーター間の割り当てエラーの可能性を除去するのにとても有用です。
[参考]
- Set-IscsiServerTarget – Windows Server 2012
http://technet.microsoft.com/en-us/library/hh826089.aspx - Windows PowerShell Support for Windows Server 2012
http://technet.microsoft.com/en-us/library/hh801904.aspx - iSCSI Target Cmdlets in Windows PowerShell – Windows Server 2012
http://technet.microsoft.com/library/hh826097.aspx
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