Azure Site Recovery を利用した Azure 仮想マシンの DR (2)

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昨日の続きです。

Azure Site Recovery (ASR) は、定期的なメンテナンス実施や大規模災害発生時などに備え、定期的に Azure 上のストレージにレプリケーションし、アプリケーションとデータの安全および可用性を維持した状態でフェールオーバーを実施、ビジネス継続性および障害復旧の戦略を実現する DRaaS です。

ASR は、オンプレミスの物理マシンや Hyper-V 仮想マシン、System Center Virtual Machine Manager で管理されている Hyper-V 仮想マシン、および VMware 仮想マシンの保護が可能となっていますが、Azure 仮想マシンについても限定的 (他の Azure リージョンへのフェールオーバー、ただしフェールバック不可) ではありますが保護をサポートしています。

Microsoft Docs 内のドキュメントに ASR を利用したAzure 仮想マシンの DR についての記載があり、物理マシンを Azure にレプリケートする手順とほぼ同様ですが、検証として使用するための環境構築、およびフェールオーバー手順を纏めてみました。

手順について

記載する手順は、Azure ポータル用であり、大まかには以下の流れとなります。
※この記事では、手順 4. ~ 5. まで記載

  1. Recovery Services コンテナーの作成
  2. 構成サーバー兼プロセス サーバーの構築
  3. レプリケーション設定のセットアップ
  4. モビリティ サービス インストールの事前準備
  5. レプリケーションの有効化
  6. テストフェールオーバーの実施
  7. フェールオーバーの実施
  8. 後処理

なお、前提、制限事項については、以下の Microsoft Docs 内のドキュメントを確認してください。

4. モビリティ サービス インストールの事前準備

  1. レプリケーション対象マシン (ASR-JE-VM) にログインします。
  2. レプリケーション対象マシンがワークグループ環境である場合、Windows  PowerShell を管理者権限で起動、以下のコマンドを入力、実行し、ローカル マシンでのリモート ユーザーのアクセス制御を無効にします。
     REG ADD HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System /v LocalAccountTokenFilterPolicy /t REG_DWORD /d 1 

  3. [コントロール パネル] – [すべてのコントロール パネル項目] – [Windows ファイアウォール] – [許可されたアプリ] にて [ファイルとプリンターの共有] と [Windows Management Instrumentation (WMI)] を許可します。

5. レプリケーションの有効化

5-1. ソースとターゲットの設定

  1. Azure ポータルに戻り、[手順 2: アプリケーションをレプリケートする] – [1 ソース] を選択し、以下の項目について設定、[OK] ボタンをクリックします。
    • ソース : 構成サーバー (ASR-JE-CS) を指定します。
    • マシンの種類 : レプリケート元のマシンの種類 ([物理マシン]) を選択します。
    • プロセス サーバー : プロセス サーバー (ASR-JE-CS (Inbuilt Process Server)) を指定します。
  2. [手順 2: アプリケーションをレプリケートする] – [2 ターゲット] を選択し、以下の項目について設定、[OK] ボタンをクリックします。
    • サブスクリプション : 使用するサブスクリプションを選択します。
    • Post-failover resource group : フェールオーバー後に格納されるリソース グループ名 (ASR-JW-RG) を指定します。
    • フェールオーバー後のデプロイ モデル : フェールオーバー後のデプロイ モデル (リソース マネージャー) を選択します。
    • ストレージ アカウント : レプリケーションに使用するストレージアカウント (asrjwrepst) を選択します。
    • Azure ネットワーク : Azure ネットワークをどのタイミングで構成するか (選択したマシン用に今すぐ構成します。) を選択します。
    • フェールオーバー後の Azure ネットワーク : フェールオーバー後に使用する Azure ネットワーク (ASR-JW-vNet) を選択します。
    • サブネット : フェールオーバー後に使用する Azure ネットワークのサブネット (default (192.168.100.0/24)) を選択します。

5-2. レプリケーション対象マシンの選択、およびモビリティ サービスのインストール

  1. [手順 2: アプリケーションをレプリケートする] – [3  ターゲット] を選択し、[+ 物理マシン] をクリックします。
  2. [物理マシンの追加] ブレードにて、レプリケーション対象マシン名 (ASR-JE-VM) を入力し、[OK] ボタンをクリックします。
  3. 項番 2. で追加した対象マシン (ASR-JE-VM) のチェックボックスをオンにし、[OK] ボタンをクリックします。
  4. [手順 2: アプリケーションをレプリケートする] – [4 プロパティの選択] を選択し、レプリケーション対象マシン (ASR-JE-VM) のアカウントを指定 (AgtInstAcct)、[OK] ボタンをクリックします。
  5. [手順 2: アプリケーションをレプリケートする] – [5 レプリケーションの設定] を選択し、以下の項目について設定、[OK] ボタンをクリックします。
    • レプリケーション ポリシー : 『3. レプリケーション設定のセットアップ』で作成したレプリケーション ポリシー名 (JE-to-JW) を指定します。
    • 新しいレプリケーション グループを作成してマルチ VM 整合性を有効にしますか? : マルチ VM 整合性を有効にするかどうかを選択 (はい) します。
    • レプリケーション グループ名 : レプリケーション グループ名 (ASR-JE-to-JW-RG) を入力します。
    • このレプリケーション グループに含めるマシンを選択してください : レプリケーション グループに含めるマシン (ASR-JE-VM) を選択します。

5-3. レプリケーションの有効化、および初期レプリケーションの開始

  1. [レプリケーションを有効にする] ボタンをクリックし、有効化および初期レプリケーションを開始します。
  2. 通知領域に表示される [保護を有効にしています] をクリックします。
  3. すべての項目が [成功] となっていれば、レプリケーションが有効となり、初期レプリケーションが開始されたことになります。
  4. 初期レプリケーションの進行状況は、Recovery Services コンテナー ([ASR-JE-to-JW]) を選択し、[レプリケートされたアイテム] ブレード、および対象仮想マシン (ASR-JE-VM) をクリックすることで確認することができます。

    状態が [保護済み] となっていれば、初期レプリケーションは完了となります。

5-4. 初期レプリケーション後の設定

  1. Recovery Services コンテナー ([ASR-JE-to-JW]) – [レプリケートされたアイテム]、レプリケート対象仮想マシン (ASR-JE-VM) を選択、[コンピューティングとネットワーク] を選択することで、レプリケーション後に起動する Azure 仮想マシンのインスタンス サイズ、およびフェールオーバー後に使用するネットワーク (IP アドレス含む) を変更、保存することが可能です。

    ※レプリケート対象マシンは Standard_A2_v2 だったのですが、初期レプリケーション完了後のインスタンスサイズは、Standard_F2s になっていました。

補足. Azure Site Recovery を利用した Azure 仮想マシンの DR におけるレプリケーションについて

レプリケーション対象マシンのディスク選択ができなかったため、Azure 仮想マシンの一時ディスクもレプリケーション対象となってしまっています。

また、別リージョンへのレプリケーション データの経路ですが、Azure バックボーン経由ではなく、以下のようにインターネット経由となります。
※2017/04/21 修正

参考

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